早わかりシーティング 〜快適な座位で、2時間から8時間へ

第4章 体に合う車椅子の求め方

最も重要な点は「1.どのような座位姿勢か」ということを、最初に決められなければなりません。

次に、その座位を維持(保持)するときの「2.骨盤の位置を確認」することです。このプロセスでは、特に坐骨の位置を確かめておいてください。そして骨盤の上端部(腸骨稜)も確認しておいてください。

《図-7》 バックレストのベルト張りの調整

 《図-7》 バックレストのベルト張りの調整

それを具体的に「3.実現(保持)するための仕掛け(装置)」を決める、という手順で行うと、後戻りがなく合理的に適切な座位姿勢を保持する装置(椅子や車椅子)を得ることができます。

この一連のプロセスには、後で述べますが、シーティングの経験を持ったセラピストが不可欠です。

繰り返しますが、座面の形状や材質を決める前に、決めておくことはバックレストです。

パンテーラのバックレストは、座面との角度を78.5°から97.3°まで無段階(カルムは90°から110°まで5°刻み)に調節でき、ともに独自のベルト調節式になっていますので、座る人の体型や座位能力に適合させることができます。

《図-8》 パンテーラの背座角調節範囲

《図-8》 パンテーラの背座角調節範囲

《図-9》 カルムの背座角調節範囲

《図-9》 カルムの背座角調節範囲

パンテーラやカルムのベースシートは調節ができます。基本は、まず座面の前部をフラットになるように設定することです。通常の折畳み式の車椅子では、機構上この点が不可能です。そして坐骨部周辺が少し落ち込むような調節ができる構造(アンカーサポート)になっています。そのようなベースシートの上にクッションを乗せて座わると、快適な座圧分布が得られます。

このように機能性が高く、しかも軽量なシートユニット(座席)を発明したのは、パンテーラ社の創業者であるヤッレ・ユングネルでした。彼は胸髄5番の損傷のため、自力では背筋を伸ばして座ることができませんでした。それで、コルセットの機能を持ったバックレストを必要としたのです。

《図-10》 CカーブからSカーブへ

 《図-10》 CカーブからSカーブへ

骨盤サポートやアンカーサポートの付いていない車椅子に座り、上半身の力を抜くと誰もが《図-10》の左図のような姿勢になります。同じ姿勢では30分間座り続けるのが限度でしょう。

《図-11》 キャンプの椅子

 《図-11》 キャンプの椅子



これまでの折りたたみ式の車椅子は、実はキャンプのときに使う折りたたみ椅子に車輪をつけたものだったのです。軽くてコンパクトになりますから、持ち運びには便利です。しかし、長い時間気持ちよく座っていることのできる椅子ではありません。


実際に座ってもらいました。その場で姿勢が変わります。呼吸が楽になることにもすぐ気がつきます。

《図-12》 その場で変わる座位姿勢

 《図-12》 その場で変わる座位姿勢

ここらの話を理論化したのが、スウェーデンの理学療法士で国際的に活躍しているベンクト・エングストームさんです。1994年に翻訳した「からだにやさしい車椅子のすすめ(三輪書店)」で有名で、本格的なシーティング理論が広がる契機となりました。講習会や研修会のために何度も来日しています。




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