早わかりシーティング 〜快適な座位で、2時間から8時間へ

ここには、快適な座位を得るためのノウハウが簡単に書かれています。           

さっと目を通していただければ、これまで2時間しか座れなかった方が、どうして8時間も座れるようになったかが、わかるはずです。

第1章 台に座ると、なぜ疲れるのか?

《図-1》 立位における重心と重心線

 《図-1》 立位における重心と重心線

バランスがとれ安定した立位を横から見ると、脊柱はS字カーブ(細かく見ると頚椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯、仙骨・尾骨部が後弯で、正確にはダブルS字カーブ)を描いています。

リラックスして立つと上半身の筋活動を最小値に近く保つことができます。熟練のバレリーナや太極拳の達人などは筋電計をほとんど振れさせないでバランスだけで立つことができると言われています。

もちろん、その間は下肢の筋肉は充分に働いているので、足は疲れます。

ところが、平らな台の上に腰を下ろすと状況は一変します。左右の坐骨二点に負荷が加わります。下半身を休めることはできますが、背筋を伸ばした姿勢を保とうとすると、腹筋や背筋など上半身の筋活動は高まります。

《図-2》 後傾しがちな骨盤

 《図-2》 後傾しがちな骨盤

上半身の重さは支点になっている坐骨より後ろにかかっているので、背筋を伸ばした姿勢(立位に近いSカーブ)から、息を大きく吐いて上半身の力を抜くと、骨盤は後方へ倒れます。

同時に胸部は前に倒れ、脊柱は後弯します。すなわちCカーブになり、頭も前に倒れます。そのままだと、視線は足もとのすぐ前方の床面を捕らえることになり、他の人とのコミュニケーションも困難になります。

相手と視線を合わせるには顔を起こさねばなりません。頚部は前弯することになります。結果的には円背(猫背)になり、後頚部を短縮させ、あごを前につき出した姿勢に変わります。まず首が痛くなり、肩こりから始まり背中全体が痛くなります。

時間がたてば脊柱のCカーブはさらに強調され、押しつぶされた形になります。内臓は圧迫され、呼吸は浅くなるし、腰も痛くなります。この状態では、長時間この姿勢を保つことはできません。

骨盤を後傾させると、尾骨も支持点になり、安定した三点支持に変わります。この姿勢は、一時的には安定した座位を得ることはできます。実は、私たちが椅子に腰掛けている姿勢は、ほとんどこの状態です。

《図-3》 骨盤と大腿骨

 《図-3》 骨盤と大腿骨

疲れてくるとお尻を前にずらします。電車の中でもときおり見かけられる姿勢です。当人は極めて楽にしているように見えますが、脊柱を後弯させていますので、少し時間がたつと内臓が圧迫され、脊柱の一点に大きな圧力がかかり、苦痛が生じます。




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